いよいよ今月19日に次期拡張パック「暁月のフィナーレ」のアーリーアクセスが始まる。
前回触れた主に海外プレイヤー数の急激な伸びについてはNew Worldなどの新作MMORPGのサービス開始がこの時期に相次いでいるのが影響してか、Steamの同接ではかなり落ち着いてきている。
steamchart

暁月のサービス開始後もしばらくはインフラの追加は難しいことは既に発表されている通り。一時期増えた海外プレイヤーが暁月開始後にどれくらい戻ってくるか・・・アーリーアクセスは楽しみだけど、サーバーアクセス問題はしばらく悩みの種になりそうだ。

ということで漆黒編最後のLodestone国勢調査の更新である。


画面イメージ

ワールド別統計とは、Lodestoneのキャラクター情報を収集・分析して、ワールド毎のプレイヤー動向をいろんな角度で掘り下げるLodestone国勢調査の集大成。前回の更新は7月18日と3か月半ほど前になる。その間、暁月メディアツアーの情報やFFシリーズの産みの親の坂口氏の半端ない攻略スピードなどで話題は盛り上がっているが、ゲームでは新コンテンツなどはなくシーズナルクエストやコラボクエストの復刻などがあった。今回、漆黒最終盤の状況を記録しておくことで暁月での変化を観察できるだろう。

アクティブキャラクターの判定などの詳細などは「Lodestone国勢調査のよくある疑問」という記事にまとめてあるので参照されたし。

それでは結果をみてみよう。
・アクティブキャラクターは162万、漆黒キャラクターは151万

集計対象のベースとなるアクティブキャラクターの判定基準は以下の通り。
  • 最大レベルが60以上(60ジャストを含まず)
  • 前回(7/18)の調査からレベル、経験値が変動している
  • 前回の調査から、ミニオン、マウント所持数が変化している
  • 前回調査では居なかった新規キャラクター
  • マウントの所持が1体以上
  • グランドカンパニーに所属している
  • データ取得時のジョブでジャンピングポーション使用(データ取得時のメイン武器のIL260かつ戦闘ジョブ最大レベルが60もしくは、同IL390で戦闘ジョブ最大レベルが70)キャラを除外
リージョン別漆黒キャラクター数動向
アクティブキャラクター数は前回(120万)から42万増の約162万
新規キャラクター数は前回の21万から約35万増加の56万
前回非アクティブだったのが今回アクティブになった復帰キャラクター数は前回の23万から10万増加の33万。
前回からアクティブで継続しているキャラクター数は76万から3万減少の約73万
漆黒開始は前回の113万から38万増加して151万
漆黒クリアは前回の80万から21万増加して101万
暁月アーリーアクセスは前回の42万から44万増加して86万


アクティブキャラクター数の最高記録だった前回をさらに大幅に超える結果になった。ちょっとこの増え方は尋常ではない。冒頭述べたようにSteam同接は最近落ち着いてきたものの、アクティブキャラクター数としては今回はピーク時の期間が反映されている。
拡張まで休止ている人が多いからか継続キャラクター数は微減しているのに対して、増加の大半は新規キャラクター数が占めている。

漆黒開始、クリアまで行っているキャラクター数も順調に増えているが、暁月アーリーアクセス権がある早期予約特典の所持キャラクター数が前回から倍増の86万キャラクターもいる。
漆黒直前の2021年6月13日の調査ではアクティブ101万,紅蓮開始85万に対して48万だったことを考えると割合的にはこんなものかもしれないが単純な数として見れば漆黒アーリーアクセスの時の2倍弱くらい。
アーリーアクセスでの混雑と言えば紅蓮の「極ラウバーン討滅戦」と言われたインスタンスバトル前の大渋滞が思い出される。漆黒のアーリーアクセスではその教訓が活かせたのか致命的なトラブルは無かったが、今回の暁月のアーリーアクセスはまた物量が違いそうなので一波乱あるかもしれない。



・ワールド別の人口動態

ワールド別の人口動態も見てみよう。

人口動態
表は増減の大きい順にソートしている。今回もGoogleのスプレッドシート版にシートを追加する形で公開しているので、気になる人はいろんな切り口で見て欲しい。

全体が大きく増えているので全ワールドがプラスになっているがNA/EUの伸びが特に大きい。
NAでは優遇ワールドが多かったCrystalデータセンターのワールドが上位に並んでいるが、通常ワールドのPrimalデータセンターのワールドも上位に入っている。Aetherデータセンターのワールドが混雑指定されてキャラクターが作成できなかった時期もあったので少し落ちている。

ワールド間人口の平均化優遇施策の対象ワールドは10月26日の更新で全ワールド通常になっている。とりあえず暁月リリースしてしばらくは様子見ということだろうか。
人口平均化施策の効果もあり、ワールド別人口動態の調査は近年あまり言及するべき内容が無くなってしまったが、まだしばらく時間がかかるものの今後オセアニアデータセンターやワールド新設などが予定されているので続けていきたい。

・希望の園エデン再生編零式踏破状況

リリースから大分時間が経過した零式踏破状況はあまり注目されるデータではないが、今回ちょっと気になるニュースがあったのでそれに絡めて考察したい。
それは、暁月メディアツアー中にあったGame Watchでの吉田Pのコメント

8人用レイドコンテンツの零式(高難度)は、皆さんが思っている以上に、たくさんの人がプレイしてくださっています。全体の5割ぐらいの人は、プレイしてくださっていますね。4層までクリアしている方はもう少し少ないものの、拡張内で最新のレイドが終わっている人は、おおよそ全体の3割ぐらいですので、かなり多いです。
このコメントと今回の調査データを比較してみよう。
まずはいつものワールド別の踏破者数
レイド踏破者数
踏破者数については零式/ノーマル比でJPは平均的に3割を大きく超えている。比率で言えばChocoboが45%と1位だが、踏破キャラクター数で言えば人口の多さが影響してかTonberryが1位。NAデータセンターのGilgameshが2位になっている。

吉田Pのコメントと比較するためにもうちょっと集約しよう。
DC別レイド踏破者数

データセンターとリージョン別に集計。希望の園エデン再生編零式の踏破キャラクター数をアクティブキャラクター数、Lv80キャラクター数、ノーマル編クリアキャラクター数で割った比率をそれぞれ出している。

数字は表の通りだが「おおよそ全体の3割くらい」という言葉と近いのは日本リージョンS/N比36%か全体のS/N比26%。吉田Pが言っていた「全体」が何を指すかが明言されていないので「全体の5割がプレイしてくれている」という言葉の解釈も難しい。
「全体」が指す範囲と「プレイしている」という言葉が指す状態が曖昧なのだ。
現時点でプレイ権を持つ全ユーザーを全体と考えると、今回の調査でアクティブキャラクター比で再生編零式のクリア率は全ワールドで8%である。
そもそも今回の調査で30%が新規という状況で50%が再生編零式をプレイしているというのも信じがたい。なので「全体」というのもある程度絞られたプレイヤーを指していると推察される。「プレイしている」という状態はコンテンツ解放したか、あるいは1回でも参加したかのどちらかだろう。

再生編零式のコンテンツ解放条件はノーマルクリア後にアム・アレーンのNPCに話しかけることだ。
全体をS/N比の分母にあたる「ノーマル編クリア」にすると、NPCに話しかけて解放した、もしくはそこから1回でも参加したプレイヤーが5割という解釈になる。
その解釈で元発言を補完すると
「(条件的にはコンテンツ解放してプレイできるプレイヤー)全体の5割くらいの人は(最新高難易度レイドを)プレイしてくれている。4層までクリアしている人はおおよそ3割くらい」
ということだろうか。

今回のコメントを普通の人が見たら「全体」は特に注釈なければアクティブなプレイヤー数全体と解釈するだろう。今回のLodestone国勢調査のアクティブキャラクター数で例えれば、新規も含めた160万のプレイヤーのうち80万がプレイしていて、50万のプレイヤーはクリアしていると理解されかねない。

もし「レイドの高難易度コンテンツが多数のプレイヤーに支持されていますよ」という意図で出した数字だとしたら、Lodestone国勢調査という活動を続けてきた自分としてはアクティブなプレイヤー全体で5割のプレイヤーが遊んでいるコンテンツと誤解されるような発言は不適切だと批判せざるを得ない。

「数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う」という言葉がある。
一般に、データや数字というのはファクト(事実)を表し、自説の根拠となる数字を挙げることで大衆の理解を求めようとする。もちろん、この数字に嘘があると批判されるとその説得力は瓦解する。
そこで、発表する数字自体に嘘はないが、数字の前提条件等の説明を意図的に省くことで、読み手側の数字の解釈を自分の都合の良い方向に誤読させようとする人がいる。
そういう人に騙されないようにしましょう警句であり、統計リテラシーの基本となる。

今回のインタビューで回答した内容は、吉田Pはちゃんと説明したのにインタビュアーの人が細かい数字の定義を端折ったのかもしれない。ただ数字は独り歩きしがちだ。
多くのプレイヤーが運営側に都合のいい方向に誤読してしまっている状況では、曖昧な数字での情報発信をしている運営にプレイヤーから疑念を持たれてしまうだろう。
そのようなことがないように数字を出す時はその数字が何を指しているのか、特に割合なら分母はどういう数字なのかをちゃんと説明するようにしてほしい。


・青魔道士コンテンツの進捗状況
5.45で青魔道士のレベルキャップが70まで解放された。
それを受けて4/11公開のLodestone国勢調査で青魔道士アップデート後の状況を調査したが、直近のモグモグ・コレクションで希少トームストーン:伝承を高効率で取得するのに青魔道士が有効だとにわかに脚光を浴びた。
それをきっかけに青魔道士を始めた人も多くいるそうで、ではどのくらい青魔道士コンテンツが遊ばれているか再び調べてみることにした。
青魔道士
前回と比較すると青魔道士を解放してレベルを上げているキャラクターの割合はそれほど増えてない。
ただし、これは対アクティブキャラクター比で見た場合で、今回のように新規プレイヤーがかなり増えていることを考えると、特に青魔道士のアップデートがあったわけでもないのにレベル帯比率が維持されているということは、既存プレイヤーではかなりのプレイヤーが青魔道士というコンテンツを遊ぶようになったとも解釈できるだろう。

アチーブメントを見ても、マスクカーニバルまでは比率としてはあまり変わっていない。
ただ、高難易度コンテンツのアチーブメント取得率は若干上昇している。

結局数字の上では顕著な上昇は見られなかった、という結論になった。


・キャラクターファーストネームランキング
コンテンツの更新が無い時期のネタとしてパッチ最後の調査ネタとして定着してきたキャラクターファーストネームランキング。
今回はリージョン比較だけじゃなく、各リージョンの種族別の特徴が分かるようなランキングにした。

最初に女性編の結果をもとに表の読み方と考察を述べてみよう。
キャラクター名女性編
かなり大きい表になってしまったので適宜画像を拡大して見てほしい。
表の数字はキャラクターのファーストネームが多い順の順位である。
名前は全体のカウントの多い順にTOP50を表示している。
全体順位より右の数字は、その名前が各リージョン・種族での順位。
抽出に名前の重複カウントを10で足切りをしているので数字の無いところはランク外となる。
JPリージョンのルガディン女性は数が少なくて全体がランク外になってしまったようだ。

全体で見てみよう。
Lunaは全リージョンで1位だ。種族別に見てもかなりの種族で安定して上位にいる。
2位のYukiはJP/EUで種族問わず安定して順位が高い。NAで人口の多いヒューラン・ミコッテで高く結果としてNA全体でも3位になった。

LadyはJPで人気が無いがNA/EUで多い。「レディー・ガガ」みたいな名前に付けているのだろう。
MomoはJPのララフェルで2位が突出していて他の種族、リージョンでは低い。

つづいて男性編を見てみよう。
キャラクター名男性編
男性だと主に海外でSirやLordなど冠詞のような名前が上位に入っている。
前回、日本で多かったHiroはJPで9位でちょっと落ち目。全体では39位と日本以外ではあまり使われていない。
ルガディンは全リージョンでBigが一位。なんかそれっぽい。逆にLittleはEUのララフェルで1位、NAで4位だがJPではあまり付けないみたい。
他にもJPのララフェルで1位のSoraやヒューランで1位のHiroは他の種族・リージョンでは人気がなく特徴的だ。

今回、ファーストネームランキングを細かく出し過ぎてもはや何をどう言及したものかわからないのでぜひみなさんでいろいろ発見してみてほしい。

・アチーブメントから見るキャラクター活動状況
前回、アクティブキャラクターの推移を見るのに四半期ごとに活動の証になるアチーブメントが存在しているキャラクターを集計した。前回は2021Q2まで集計しているが今回2021Q3のデータまで取れるので集計してみた。
アチーブメントトレンド
  • 新規はその時期に最初のアチーブメントが記録されたキャラクター数
  • 最終はその時期より後のアチーブメントが確認できなかったキャラクター数
  • 継続はその時期にアチーブメントが確認できたキャラクターから新規、最終を除いたもの。ただし、その時期内で同じキャラクターが新規・最終にカウントされている場合は継続から2重に引かれてしまので+1をしている。
  •  2021Q2は2021年7月にアチーブメントがあれば継続,なければ最終の判定になる。
  • レガシーキャラクターは、新生後にログインしないとLodestoneにデータが作られないので旧FF14期間中での最終アチーブメントは確認できない。
ということで、2021Q3のアチーブメント活動状況を見るとこちらでも爆増を観測することができた。
今回もアチーブメントの最新状況をジョナサスレポートに反映してあるのでこれまでの歩みをアチーブメントで振り返ってみてほしい。
fig1

ということで漆黒最後の調査はこれくらいにして、次回はいよいよ暁月編になる。
現在休止しているプレイヤーがアーリーアクセス・正式リリースでどのくらい戻ってくるか。新規プレイヤーの増加傾向は維持されるのか。新種族や新ジョブの人気など新しい要素がどのくらいウケるのかなどなど、いろいろ気になるところだ。