2015年3月31日、旧FF14のサービス当初から存在し、プレイヤー同士の交流を支えていた旧the Lodestoneが閉鎖された

2010年の旧FF14のサービス開始が波乱で始まったことはTV地上波の「しくじり先生」で取り上げられ吉田P自ら語ったくらい有名な話だ。

レガシー年表
 旧FF14の失敗はその後の新生版での復活劇というオンラインゲーム開発のストーリーの文脈で語られることが多い。
ただ、ゲームがしくじっていた期間もプレイを続けていたプレイヤーはただ苦痛なだけのゲームをプレイしていたはずもなく、そこに楽しさを見出したからこそ続けてこれた。
そうした事情を書いたのが「旧FF14リリース当時のゲームの楽しみ方」だ。








6dba30f3その中でも語ったのが旧Lodestoneでのプレイヤー交流の体験だ。今も昔もゲーム内とはいえ見知らぬ他人に声をかけるのはハードルは高い。
キャラクターのプレイ日記を通じて人となりが分かる相手とコメントを通じて交流できる。ブログや掲示板とは違ってコメント相手もFF14のプレイヤーでどこの誰だかわかる。合おうと思ったらゲーム内で比較的簡単に会えるという体験は当時新鮮なものだった。


0c7d1af2ゲームのコンテンツとして用意されたものが少なったからこそ、プレイヤーイベントで自分で考えて動いたことがコンテンツになる。他のプレイヤーと同じ体験を共有しつつそれぞれの視点でプレイ日記が作られる。そんな交流が旧FF14にはあった。

















旧LodestoneサイトSSそんな思い出がつまった旧Lodestoneも新生FF14に合わせて新しいサイトになった。
ゲーム内のキャラクターとの連動機能は強化されたが、日記を通じての交流機能は大幅にシンプルなものになった。旧版の日記も引き継がれるわけではなく旧サイトは新生後はアーカイブとして残されることになった。
その旧サイトもシステムのハードウェア老朽化を理由に閉鎖されたのが10年前の2015年3月31日。
旧FF14時代に公式が発信した情報と数々のプレイヤーによって綴られたプレイ日記と共に消えていった。



とはいえ、ただ消えるのを指をくわえて見ていたわけではない。
旧サイトの公式トピックやプレイヤー日記を有志で保存する試みも行った。
そのあたりの経緯やLodestoneの新生については2018年に新生Lodestoneの日記に独自の「いいね!」機能が付いた時にまとめている

旧Lodestoneの閉鎖から10年の節目なので今回は対象を広げてFF14とプレイヤーコミュニティを支えた交流サービス全般の変遷について思い返してみようと思う。
■1.2010年~2012年:旧FF14時代―コミュニティの黎明期と試練

FF14の状況:

2010年9月、旧FF14が最悪のローンチを迎える。技術的な問題やゲームの不評によるプレイヤー離れが進む。
ローンチと同時にリリースされた公式プレイヤーサイトの「the Lodestone」は、当時では珍しいゲーム内のアバターで日記やコメントで交流できるブログ形式のサービスだった。
当時のFF14の状況を反映して
「βテストのフィードバックが何も活かされてない」
「がんばりが報われないゲームデザイン」
「がんばってもその先にコンテンツが何もない」
といったような不満の声も沢山投稿された中で、ゲームとLodestoneでのプレイヤー交流を通してプレイヤーイベントなどコンテンツの無いゲームで主体的に楽しむ文化も生まれた。

2011年3月に今も存在している公式フォーラムが開設され、論争になりそうな話題はフォーラムに流れた。その数日後、東日本大震災が発生。
福島の原発事故を受けて安全対策のため全国の原子力発電所が運転を停止。全国的な電力不足中、FF14も節電のためのゲームサービスを12日間停止した
社会全体が震災や節電による自粛ムードの非日常感の中で暮らす中でゲーム内で再開できる仲間がいることでFF14がもうひとつの「帰ってくる場所」になっていった。
被災地への思いを寄せる投稿がされる一方で、災害をネタに注目を集めようとするな投稿に対する批判や行き過ぎた不謹慎狩りやそれに対する批判など、プレイヤー同士の諍いからのいわゆる"炎上"も目立ち始めてきた。

FF14の運営体制が田中Pから吉田Pの体制になっても半年くらい経ってからFF14のゲーム内でもはっきりとした変化が見えてきた(最初は調査や方針検討などが中心で敢えてゲームのシステムやコンテンツには手を付けなかったとのこと)。
インスタンスダンジョンや討滅戦などのボスバトル、FFらしのシンボルであるジョブの導入などゲームのコンテンツが充実してきたことで、プレイヤーコミュニティにおける話題もそちらにシフトしていった。

外部コミュニティ概要:

公式のLodestone以外のコミュニティとして、いわゆる匿名掲示板(当時は2ch)やまとめブログ、X(当時はTwitter)などは当時からあったが一般層には浸透していなかった。


X(当時はTwitter):
Xも当時から存在していた。2010年の旧FF14リリース時からFF14の公式アカウントが開設されていた。
ただ当時は画像投稿の機能もなく短文テキストでの交流だけだったのでゲームとの親和性も低く身内の交流に使われる程度で、Twitter発のプレイヤー文化が生まれるような状況ではなかった。

ブログ:
FF14のプレイヤーブログの文化は昔も今も変わっていない。
ユーザー層の情報発信のメディアとしては、MixiやTwitterなど人との繋がりの中でコンテンツが投稿されリアクションされるソーシャルネットワークサービス(SNS)にカジュアル層に浸透してた。
ブログという自分の情報発信を持つメディアは、他の人との交流以上に自分の情報発信に拘りたい人が使うメディアであり、それは今も同じである。

公式プレイヤーサイトのLodestoneの日記はあくまでプレイヤー間の交流のためのツールなので、ブログで情報発信をする人は、自分の記事の更新通知やプレイヤーとコメントをやりとりする場として使っていた。

旧FF14時代からあるプレイヤーブログで一番有名なのはマイディ氏の「一撃確殺SS日記」だろう。
1プレイヤーブログの企画であった「光のお父さん」に1プロデューサーが惚れ込み企画を持ち込み、公式を巻き込みテレビドラマになり、果ては映画化までいったのは今考えてみても全体未聞の話だった。
「光のお父さん」は蒼天あたりの時期の話なので当時は「FF14で検索したら出てくるブログのひとつ」くらいの認識だった。それで認知しているくらいFF14を話題にしているブログも多くなかったとも言える。

旧Lodestoneの閉鎖と共にプレイヤー日記も消えてしまった。たとえプレイヤーからの反応が得られにくくても、自分自身の発信媒体を持つ事の意味は大きい。


5ch(当時は2ch):
FF11では2ch発のミームがFF11のプレイヤー文化を象徴するものと認識されていた。
FF11をプレイしていなかった自分でも独特の言語センスでFF11プレイヤー以外の人も思わず笑ってしまう「ブロントさん」の話や、「引き継ぎに関しては俺も動く」から始まるFF14発表に対するFF11の大手ギルドリーダーの抗議文がFF11のネトゲ廃人文化を煮詰めたような名文を目にしていた。

FF14も当時から2chで話題にされていたが、FF14のローンチ失敗でゲームや運営であるスクエニを批判するような内容が多く、FF14のプレイヤー人口自体も伸びなかったため、FF11のようなプレイヤー文化の発信地となるような土壌は生まれにくかった。
一方で匿名で特定プレイヤーの行状を告発する、いわゆる「晒し」の場として一定数の影響力はあり、プレイヤー間の諍いの火種にはなっていた。

まとめサイト:

まとめサイトも、2010年の旧FF14リリース当初はFF14の話題を中心に扱ったものはなく、FF14のローンチ失敗も「オレ的ゲーム速報@刃」や「はちま起稿」などゲーム系の話題を扱うまとめサイトの中で話題にされた。

旧FF14の時代にまとめサイトとして認知されていたのはFF11とFF14の話題を扱う「メテにょ☆」だ。
2011年から運営開始していた当初はFF11の話題の方が多かった。
2chのFF14の話題もメテにょ経由で知る人が多く、公式サイトでキャラクター名と紐づいたLodestoneやフォーラムでは語られないプレイヤーの本音が伺える情報元として認知されていた。
そのメテにょも新生リリースするタイミングで運営停止してしまった。
今でこそ「まとめサイトはアクセス数を収益にしている」というイメージだが当時のFF14のプレイヤー規模ではそんな収益が期待できるわけもなく、更新負荷の高さや新生FF14をプレイする方に時間を使いたかったらしい。更新停止のお知らせにはXの公式アカウントからねぎらいのポストもあり、「2chまとめサイトに公式が肯定的に言及するなんて」といった反応もあった。

キュレーションサイトという、ユーザー主体でコンテンツが作れるまとめサイトというジャンルがあり、当時有名だったのが「NAVERまとめ」だ(2020年に終了)。
Twitterやブログなど、いろいろな情報ソースからコンテンツをピックアップしてまとめたコンテンツで画像も扱えたことから、カジュアル層向けのメディアだった。
ただ、アクセスを集めるのに「FF14のバグまとめ」「プレイヤーが怒ってる理由10選」などネガティブな話題で一般ネットユーザー層にFF14の状況を報せるものが多く、現役プレイヤー間のコミュニケーションが発生するものではなかった。

ゲーム情報サイト:
現在でこそ公式のLodestoneにジョブのアクションに関する情報やアイテムやレシピのデータベースがまとまっているが、2010年当時はFF14のゲーム攻略に関する情報はだいたい有志のゲーム情報サイトにまとめられていた。

代表的なものがギャザラー・クラフター向けのアイテムや制作レシピの情報がまとまっている「ERIONES」だ。公式サイトはおろか、ゲーム内でも制作レシピの確認が難しかったのでクラフターで稼ごうと思えば必ずお世話になるサイトだった。

「eLeMeN - FF14 -」はクエストやバトルシステムなどのゲームの情報だけでなく、FF14の開発者がゲームメディアなどで語ったインタビューなどの情報もまとめられていた。
2015年頃に更新をやめてしまったが、旧FF14のデータがそのまま残っていたりと過去の情報を検証したい時に今でもお世話になっている。

プレイヤー有志で情報が更新されるwiki形式の情報サイトの文化もFF11の時代から根付いていてFF14でもいくつかのサイトが運営されている。
FF14の不人気やプレイヤー数の縮小などでFF11のようには盛り上がることは難しかった。

動画投稿サイト:
動画投稿サイトとしてはYouTubeが有名だが、当時はニコニコ動画の方がゲームコミュニティと親和性が高かった。
Youtubeに当時ライブ配信の仕組みが導入されたのは2011年ごろから。動画投稿が中心で収益化の仕組みもなかった。
一方ニコニコ動画は動画投稿も独特なコメント機能や当時からあったニコニコ生放送が、視聴者との交流が感じられ、プレイヤーコミュニティとの親和性が高かった。
収益化の仕組みが無いのはニコニコ動画も同じだが、この交流のたのしさが投稿者のモチベーションになった。

ボイスチャット:
FF11ではバトルの進行が比較的ゆっくりだったのでチャットで十分コミュニケーションが取れたが、FF14では旧FF14の時代でもバトル中にリアルタイムでチャットで会話してバトルをするのは難しかった。そういう場面でボイスチャットの出番になる。

FF14がリリースされた当時一番シェアがあったのがSkypeだ。
Skype以前は音声通話と言えば電話での通話で1分いくらの料金がかかり長時間の通話が難しかった。
そこに定額のデータ通信で音声通話ができるSkypeが登場して初めて時間を気にせず長時間通話をすることが可能になり、ゲームに限らずビジネスや一般のコミュニケーションに活用された。
Skype自体はゲームと併用するには少々動作が重かったが、「ボイスチャットならSkype」というのが世間一般の認識だった。

FF11からの流れでテキストチャット文化が主流だったFF14でも、相手に自分の素性がある程度バレてしまうボイスチャットに抵抗がある層が当時のプレイヤー層からすれば大半で、便利であることは認識しつつも使うのは限定的なコミュニティやシチュエーションに留まった。
公式でのボイスチャットのサポートの要望がフォーラムで上がった際も、吉田Pから公式でのサポート予定はない旨言及された。ただ、公式で使えない代わりにサードパーティのボイスチャットツールの利用は禁止ではなく推奨するという立場だった。

ちなみにSkypeは2024年3月にサービス終了が発表された(終了日は2025年5月)。Skypeはネット文化に変化をもたらした象徴的なツールの一つなので時代の流れを感じさせる。

まとめ:

それぞれのサービスを利用してFF14の情報を発信していた人はいるが、大きなコミュニティにならなかったのは、各サービスの性質というより旧FF14を遊んでいたプレイヤーの絶対数が少なかったことが要因として大きい。
FF14のプレイヤー規模の割には、FF14のネームバリューはネガティブな方向で大きく、FF14プレイヤー以外からの関心も「ひどい失敗をしたゲーム」という文脈で見られるので余計にFF14のプレイヤー同士の交流には不向きだったと言える。

その意味で旧LodestoneがFF14のプレイヤーコミュニティに果たした役割は大きく、当時プレイしていた自分としても並々ならぬ思い入れがあるのだ。


2.2013年~2016年:コミュニティの再構築と拡大

FF14の状況:

2012年11月の旧FF14サービス終了のタイミングから新生FF14のαテストは行われ、数回のβテスト、オープンβテストを経て2013年8月に新生FF14がリリースされた。
新生FF14のリリースは大成功でワールドを増強するまでログインできないプレイヤーが続出した。

動作の快適性は各段に向上したもの、広く拡大したプレイヤー層を繋ぎとめられるだけのコンテンツ量は最初から用意できるでもなく、ローンチからプレイヤー人口は減少傾向が続いた。
コンテンツの少ない旧FF14でも人がいれば楽しめたというようなプレイヤー層というのは一部でしかなく、普通の人はやることが無ければやらなくなるだけの話だ。

そうした一部の層から批判されたのが新生Lodestoneで大幅に簡素になった日記機能だ。
快適になったゲーム本体と比べて、出来る事も少なく不便になった。
旧Lodestoneは2014年に更新停止してアーカイブ化となったが、翌2015年にサイトごと閉鎖されることになった。旧Lodestoneから新生Lodestoneに関する顛末はこちらにまとめてあるので参照されたし。

新生Lodestoneになって充実したものはキャラクターデータの連動とゲーム攻略につながるアイテムデータなどだ。
通常、この手の情報は外部のプレイヤー有志のサイトがまとめることが多いが、なるべく正確な情報を届けたいとの意向で公式サイトとしてはかなり充実している。

新生リリース後もパッチリリースを重ねアラアンスレイドやハウジングなどコンテンツも充実していった。2014年には初のファンフェスが行われ、初の拡張パック「蒼天のイシュガルド」が発表された。
旧FF14から存在していたけど入れないイシュガルドに行ける。マウントで空も飛べる。新ジョブも来る。新種族も追加される。
新生リリースから2年でこの内容だ。
旧FF14では何か要望が上がるたびに「サーバーの基本設計が…」と後回しになることが多かった頃と比べれば本当に進化していくゲームに感じた。

2015年6月に蒼天のイシュガルドがリリース。
いきなり3国を冒険者一人で行ったり来たりさせられた新生のメインストリーがお使い感が強いと批判された。
蒼天ではイシュガルドとドラゴン族との話に向き合い、暁の仲間との旅を通じてキャラクターの成長を感じるストーリーになって評判が良かった。
一方、バトルコンテンツの難易度調整では迷走が続いた時期だった。
新生のレイドコンテンツである大迷宮バハムートでは第七霊災に関連するストーリーがあっため、多くのプレイヤーに体験してもらうために何度も緩和された。
蒼天からはノーマルと零式に分けることでストーリーは多くのプレイヤーに体験してもらえるようになった一方、高難易度の零式の方は更に難易度が高くなった。
零式の攻略には週制限のトークンや攻略で手に入れる装備の新調で装備のアイテムレベルを上げることが前提で結果としてプレイヤーの火力による選別の文化が強くなり、今に続くDPSメータ―の問題が議論されるようになった。
パッチ3.4の天動編でクラフター産の新式装備を整えれば初週攻略も可能になるレベルに難易度が調整され以後この水準が基準になった。

パッチ3.5でパーティ募集機能が同一ワールド内からデータセンター内で募集できるようになった。
それまではマッチング以外で他ワールドのプレイヤーとパーティを作って攻略することはできず、
高難易度コンテンツに挑戦できるメンバーを求めて、レイド攻略が盛んなワールドに移転するプレイヤーも多く、それがさらに元ワールドの募集環境を厳しくする構造的な問題があったが、クロスワールドパーティ募集が実装されて改善した。

外部コミュニティ概要:

酷評されたFF14が新しく作り直して成功したというニュースは世間的な注目度も高くプレイヤー数も大幅に拡大した。
FF14のプレイヤー数が増えれば情報を発信する人、情報を求める人も増えてくるのでFF14の情報を扱うサイトも増えた。
また、新生Lodestoneのコミュニティ機能の縮小が、プレイヤーコミュニティを外部に広げることになった。

X(当時はTwitter):
2011年の東日本大震災の際に情報インフラとしての存在感を示し、以降日本社会へ浸透していった。
FF14が新生して数か月後の2013年10月にそれまで外部リンクとして表示されていた投稿画像がタイムライン上で見ることができるようになった。ゲーム内のスクリーンショットがタイムライン上で表示されるようになりXで交流することのモチベーションに繋がった。

ブログ:
既に成熟しているブログのシステムや文化自体が何か変わるということはないが、FF14のプレイヤーが増えることで新たにブログで情報を発信する人も増えた。
新生Lodestoneの日記機能の貧弱さからブログへの情報発信に切り替える人も一定数いたが、元々旧FF14プレイヤー自体が少なく、そこまでして情報発信しようとする層はもっと少ない。
交流目的であればXの方が手軽で他のユーザーとも結びつき易かった。

5ch(当時は2ch):
FF14のプレイヤーが増えたことで2chのFF14関連スレッドも活発になっていった。
FF14関連の2chまとめサイトが増えたことで2chの話題が外部に露出する機会も増えた。

2014年3月ごろに2chの運営権を巡って創設者と当時のサーバー管理者が対立してサイトが分裂する事態になった。その際の大量のスレッド消失や荒らしの増加といった状況にFF14関連のスレッドも巻き込まれていった。
2chの混乱に嫌気がさした住人の一部がしたらば掲示板に移る現象もあったが、一枚岩で移動するということはないのでFF11の頃にあった情報交換の中心地としての求心力を持つまでに至らなかった。

まとめサイト:
FF14に限らず、新しいゲームでプレイヤー人口が伸びる時にゲーム情報の発信メディアとしてのプレゼンスを獲得できるチャンスなので、FF14関連のまとめサイトも「馬鳥速報」「FF14速報」などをはじめ、多くのサイトがこの時期に生まれている。

みんなが集まるまとめサイトにコメントが集まり、さらにそれが集客効果を生むので、読者を獲得するために継続的な更新や他のまとめサイトとの差別化、SEO(検索エンジン最適化)などの運営負担は重い。
また、この時期に2ch分裂騒動があり、ネタ元の2chの書き込み自体の低下から更新頻度が下がり、ただでさえグレーな2chからの情報転載について、派閥論争に巻き込まれるリスクも出て来た。

2chに情報を依存しすぎるリスクが顕在化たので公式サイトやフォーラム、Xなど情報ソースを分散する必要があったが、運営負担がさらに増すことになり更新をあきらめ事実上撤退するとこもあった。

ゲーム情報サイト:
一般的に、ゲームの攻略に役立つような情報はプレイヤー有志がwikiなどのサイトを作ってまとめることが多い。プレイヤーからの定期的な需要があるのでプレイヤー規模の大きいタイトルだとアクセス数も伸びやすい。
FF14も旧FF14の時代は同じような状況だったが、新生Lodestoneでは外部サイトに依存していたようなゲーム内の情報やデータベースが公式サイト内で充実するようになってきた。

その結果、アイテムの情報や仕様をまとめただけの情報サイトには需要がなく、コンテンツ攻略やクラフター、ギャラザー、ハウジングなど特化したニーズに合うようにデザインされたサイトが多い。

旧FF14のクラフターがお世話になっていた「ERIONES」は、パッチ3.0で公式のエオルゼアDBがアイテム情報やレシピ情報の掲載を始めてからもプレイヤー視点での使いやすさを充実させ今でも支持されている。

ハウジングの家具検索に特化した「FF14ハウジング」は蒼天のイシュガルドリリース時期に運営開始したようだ。

漁師の釣り情報に特化した「猫はお腹がすいた」は2014年に運営開始していたことが確認できる。

動画投稿サイト:
新生FF14ではゲーム内の映像や音声の動画投稿サイトへの投稿が認められた。
旧FF14の時代でも積極的に取り締まっていたわけではないが、公式にOKを出すにはゲーム制作の段階から各所にプレイヤーの2次利用に対して許諾を得る必要があり新生のタイミングになったということらしい。

旧FF14時代では動画投稿者はニコニコ動画を使う事が多かった。主にMADやネタ動画、バグ動画などFF14をイジるネタが多く新生以降も基本的には変わりない。
動画の画質や安定性、収益化やアーカイブへのアクセス、モバイル対応の遅れなどグローバルで競争しているYoutubeやTwitchの後塵を拝し、新規ユーザーが伸びなかった。

Youtubeはそうした文化とは無縁に、アクセス数が稼げ収益化できる動画メディアとして解説動画や攻略動画などの投稿が増えた。
Youtubeもライブ配信機能はあったもの当初は配信できるチャンネルの条件が厳しく、一般ユーザー向けに普及し出したのは2015年あたりから。

ライブ配信の分野ではTwitchが2011年に登場。主に英語圏で使われていて、FF14の配信が増えたのは2013年後半のレイド攻略あたりから。
Twitchはゲーム配信に特化した設計でOBSなど配信ツールと連携し設定がシンプルで配信が容易だった。また配信者の視聴者との関係構築などにも力を入れて配信者コミュニティ文化の形成で先行していたが日本ではまだあまり知られていなかった。

ボイスチャット:
旧FF14の時代からボイスチャットと言えばSkypeだったが、新生の時期からTeamSpeak3(TS3)が使われ出した。
TS3は、サーバーを自分で専用して立てられる設計で大人数への対応や低遅延、PC負荷の低さなどで高難易度レイドを攻略するユーザー層に支持された。

一方、通話を楽しみながらゲームをプレイしたいというカジュアル層にとってはTS3は設定の敷居が高く、まだSkypeが主流だった。

現在主流になっているDiscordがリリースされたのは2015年5月。ゲームコミュニティ向けに設計され、無料サーバー作成、ボイスチャット・テキストチャットの統合、軽量動作などでシェアを伸ばしていった。
Discordの創業者はFF11がきっかけでボイスチャットツールを開発してFF14の熱心なプレイヤーだと発言している

まとめ:

新生の成功でプレイヤー人口が一気に拡大。その影響で外部メディア上でのFF14プレイヤーの存在感が高まりいろいろなサイトができた。
特にXは他のプレイヤーと繋がり易く、スクリーンショット投稿などもし易いためコミュニケーションンツールとして広がった。

新生Lodestoneの公式データベースやゲームの情報発信が充実しているので外部のゲーム情報の総合サイトのようなものはないが、特定の分野に特化したサイトが存在している。

ボイスチャットツールはゲームプレイに特化したDiscordが登場して急速にシェアを伸ばしていった。


3.2017年~2020年:プレイヤーの拡大とコミュニティの多様化

FF14の状況:

2017年に紅蓮のリベレーターがリリースされた。
東方のドマがフィーチャーされ、新ハウジングエリアの「シロガネ」が実装されるなどオリエンタルな要素がエオルゼアに追加された。
バトルシステムが大幅にリワークされ、ジョブに専用のUIや既存アクションの見直しなどジョブの個性と分かり易さが向上。
バトルコンテンツも絶シリーズや特殊フールド探索のエウレカなどが実装された。

一方、「ドマ式麻雀」や「楽器演奏」など生活系コンテンツも展開。ゲーム内で演奏会を開く演奏勢という新たなプレイヤー層も生まれた。

紅蓮で高まった評価を「漆黒のヴィランズ」ではさらに上回り、特にストーリーが高く評価されてPRGや物語重視のプレイヤーが急増。
NHKが行ったファイナルファンタジー大投票では漆黒の敵キャラ「エメトセルク」が6位。シリーズ30周年の歴代の人気キャラクターの中でTop10入り。敵キャラでは最高順位になるなど存在感を示した。

2020年から拡大した2020年に発生した新型コロナウイルスのパンデミックによる外出制限などでFF14のパッチや次期拡張の開発も影響を受け、2020年に予定していたファンフェスも中止になったが、
社会的にテレワークが急速に普及したことで巣ごもり需要が発生してユーザーを増やした。

外部コミュニティ概要:
オンラインメディアのクラウドソーシングなどで作られる低品質なコンテンツが問題になった結果、オンライン広告の審査が厳格化され中小のメディアの収益が悪化した。
動画の需要が伸びた。特にコロナ過以降は自宅でできるエンタメ全般の需要が伸びた。


X(当時はTwitter):
投稿の文字数が140文字から280文字に拡大され投稿の表現力が上がった。
他に24時間でツイートが消えるフリートや音声コミュニケーションができるスペースなどが登場したが、FF14界隈ではあまり流行らなかった。

Xのプレイヤーコミュニティの変化としては、規約関連で他人に注意をするという行動が増えたことだろう。

ゲーム内に実装された楽器演奏は第3者の権利が絡みやすく、注意喚起が増えた影響で、無関係なプレイヤーが他人の演奏に直接注意するケースが出てきた。この行為への意見は分かれるが、こうした流れから規約を厳密に解釈して指摘する動きが広がり、今まで問題視されていなかった活動にも他人の指摘によるストレスを考慮せざるを得なくなった。

また、スクリーンショットの画像加工は旧FF14時代からあるプレイヤー文化で、公式のファンアートコンテンストでもスクリーンショットの未加工作品部門と別に加工作品部門が設けられているようにオフィシャルでも認められたものである。
ただ、このころにゲーム内のキャラクターのグラフィックリソースを差し替えてゲームに無い衣装を着せたりする規約違反のMODが話題に上ったことでスクリーンショット加工でしかないものに「ゲーム内で見かけない装備をしているSSだからMODだ」と短絡的に決めつける人も出て来た。
MODでないと分かっても、著作物利用規約にある「過度な加工」であると運営でもない自分が勝手に過度か否かの線引きをして正当化する。

ダメなものは運営が取り締まれば済む話で、運営と関係のない人がプレイヤーによるファンアートという活動自体を委縮させるような流れにはなって欲しくなかったが、世の中は窮屈な方向に進むものである。

ブログ:
ドラマや映画になった「光のお父さん」の原作になったマイディ氏のブログ「一撃確殺SS日記」は注目されたがあくまで特殊な事例であり、これでブログを書き始める人が増えるといった影響はなかった。

ブログ全体としてはFF14の情報発信の需要はYoutubeの解説動画などに押され気味。
新生から5年経てばブログ作者の生活環境も変わるので続けることは難しく、新しく情報発信をするならYoutubeで、という流れに。


5ch(当時は2ch):
2017年に当時「2ch」商標を争っていたのを回避するためサイト名が5chになった。
ただその頃には分裂騒動は当事者の法廷闘争に移り、現場では分裂状態がそのまま日常になった。

5ch運営側の混乱がなくなった分、匿名ゆえの率直な意見やコミュニティの多様な声の反映場所になっていた。

まとめサイト:
プレイヤーが急増した時期だが、アクセス数の多いサイトがほぼ固定されそれ以外のサイトはほとんど更新されなくなった。

この時期は「WELQ事件」に象徴される低品質なキュレーションメディアが社会問題化しGoogleも低品質なサイトへの締め付けが強化された。
2chで同じネタを拾って似たような記事が掲載された場合に評価の低いサイトの方がコピーサイトと見做されるなど小規模サイトには辛い環境だった。

ユーザーの情報収集もYoutubeなど動画の比重が増えてきてテキストコンテンツが相対的に下がり、広告単価も下がっていった。

総じてまとめサイトには品質向上か撤退かを迫られる転換期だったが、FF14ではコミュニティの熱量はあったのでFF14のまとめサイト全体がなくなるようなことはなかった。

動画投稿サイト:
Youtubeの視聴者全体が伸びる一方、2017年にYoutubeは収益化を認めるチャンネルの審査を厳格化(Adpocalypse)し中小クリエイターが苦戦する一方、大手クリエイターが有利になっていった。

Twichは2017年に日本語対応され、2019年頃から日本市場での存在感が増加。
低遅延のライブ配信や不安定な広告収益より安定したサブスク収益が配信者のニーズと合致し、Twichでの配信を始める配信者が増えた。

バーチャルYouTuberとしてキズナアイがブレイクしたのが2017年。現在のVTuber大手事務所のホロライブやにじさんじが急成長したのが2018年から2020年。
VTuberにじさんじの静凛さんがFF14をプレイしていたのは2018年ごろから。

ボイスチャット:
Discordの人気がさらに高まりシェアを伸ばしていった。
無料で使いやすいチャットとしてだけでも有用だったのが、音質改善、ビデオチャット、ボット強化などこの時期の機能強化によってDiscordが今の地位を築いていった。

絶コンテンツでの外部ツール使用問題に言及したインタビューで「
外部のボイスチャットもツールになるから一口にすべてをツールと括ってしまうのは危険」とボイスチャットを禁止しようという話をしているわけではないが、「ツールと括ってしまうと外部ボイスチャットもそれに該当する」という部分だけ今も切り取られて外部ツールの問題が上がるたびに「Discordはどうなんだ」と引き合いに出されるようになった。

まとめ:

コンテンツの多様化と感動的なストーリーで評価されプレイヤー数を伸ばして行った中でコロナの巣ごもり需要でさらにプレイヤ―数が伸びていった。
動画メディアが盛り上がる一方で、広告の審査が厳格化され広告に依存するメディアの収益構造が脆弱になった。


4.2021年~2025年:新しい船出は難航状態

FF14の状況:

コロナ過の影響で暁月のフィナーレのリリースが例年から半月ほど遅れて2021年12月になった。
2021年7月に海外の人気配信者のAsmongold氏の影響でコンテンツ追加の無い凪の時期にもかからず海外のプレイヤー数が急増して一時期パッケージ販売を中止して高負荷対応を行うなどことになった。
その追い風の中リリースされた暁月のフィナーレは旧から続くストーリーに決着を付けた集大成ような作品でストーリーの評判は高かった。

暁月後半から次の展開の序章が始まり、2024年発売した黄金のレガシーのストーリーの評価は、漆黒から暁月の高評価と比較して厳しい意見も目立った。。
黄金のレガシーではゲームグラフィックの底上げのための更新を行ったがキャラクターグラフィック処理の変更でキャラクターの印象が変わってしまう例も多く、愛着をもっていた自分のキャラクターの微妙な違いに不快感をもってしまう人もでてきた。

漆黒から暁月のユーザー数拡大を受けて、今後更なる拡大に対応できるようにサーバーインフラを増強した成果もありリリース初期のアクセス数は安定して捌けたものの、新設ワールドのプレイヤー人口の伸び悩みなど課題が残る結果となった。

外部コミュニティ概要:

イーロンマスク氏のTwitter買収はTwitterのFF14プレイヤーに大きな衝撃を与えたが、それで他のメディアにコミュニティが移るような動きにはならなかった。
ゲームにおいて動画配信者の影響力が強くなった。日本でも公式のプロモーションに配信者を起用する事例が出て来た。


X(当時はTwitter):
2022年にイーロンマスクがTwitterを買収した。
Twitterの言論の自由の重要性と可能性を信じていたマスク氏は当時の経営層の方針に不満を持っていて、結果的に会社ごと買収することになり、サービス名もTwitterからXに変更した。

買収による運営方針の変更の混乱で一部の広告主が離れるなど収益構造が悪化し、有料サービスの導入やAPI利用料の値上げなどで離れるユーザーや連携サービスが発生した。

混乱しているXの移住先としてBlueSkyやMasfodon、Threadsなど候補はあがり一部で動きはあったものの結果的には大きな移動はなかった。

また、2022年のChatGPT公開を皮切りに生成AIが文章生成、画像作成、音声合成などで急速に普及。2023年には画像生成AIサービスが日本の漫画やアニメに出てくるようなキャラクターや背景の絵を簡単に大量に生成できたことで大きな衝撃を与えた。
FF14のプレイヤーでも自分のキャラクターをAIに描かせてみた人も出て来たが、既存の画風を模倣する画像生成AIへの風当たりが強く、慎重な扱いになっている。

ブログ:
ブログの傾向は基本的に変わっていないが、Twitterとの連携機能が軒並み縮小された影響でブログのTwitterウィジェットなどは機能しなくなっている。

ブログの休止傾向は今に始まったことではないが、黄金のレガシーでの不満を綴ったあと更新停止したブログを見たり、コミュニティの全体的な熱量の低下でモチベーションが上がりにくい状況は感じている。

5chやまとめサイト:
特筆するような変化はなし。

動画投稿サイト:
海外ではメディアツアーに以前から影響力の髙い動画配信者もメディアとして招待されているが日本では個人メディアが招待されるような事例は無かった。
日本のFF14コミュニティで動画配信者の影響力の大きさが認知されたのは先にも触れたAsmongold氏の事例だ。
FF14公式の日本でのプロモーションにYouTuberのヒカキン氏はじめしゃちょー氏やVTuberの兎田ぺこら氏風真いろは氏の起用などが話題になった。

案件でなくても自身のゲーム配信の中でFF14をプレイする配信者も多い。
配信者がFF14をプレイしている見るか、配信をしているFF14プレイヤーと見るかは線引き難しいが、
特にk4sen氏が有名なFF14未経験ストリーマーを集めて下限ILで極コンテンツに挑む「FF14 the k4sen」は話題になった。
「配信で視聴者が楽しめるようなゲームではない」と言われがちなFF14で1日10時間を超える攻略風景を3日間配信。そんな内容で参加者それぞれが自分のチャンネルの視聴者を盛り上げるおもしろいコンテンツにするという配信のプロの実力を見せつけた。

ボイスチャット:
Discordの一強状態がつづく。

FF14公式のPvPイベントでも参加条件に「Discordでのコミュニケーションが可能な方」の記載があるように公式で採用するツールになった。

まとめ:

黄金のレガシーが厳しい評価を受ける結果になってしまったことは残念だ。
長年運営していれば浮き沈みはあるので厳しい評価も糧にして前に進んでいただきたい。
パッチ7.2のメインストーリーは良かったし、アルカディアは第1弾から面白く第2弾も最高の出来だったと思う(ノーマルで楽しむくらいのプレイヤーの意見として)。


5.この先の未来へ

これまでの変化を見て来たのでこれから先どうなっていくか、どうなってほしいかを考えてみたい。

テーマを3つ考えた。
・プレイヤー文化とコミュニティ
・配信文化との向き合い方
・AIの進化とどう付き合うか

・プレイヤー文化とコミュニティ
現在、オープンなプレイヤーコミュニティとしてはXのプレゼンスが非常に大きい。
一方、Discordは単にボイスチャットのツール以上に、身内でのコミュニケーションやコンテンツ攻略や情報交換など特定のテーマに沿ったクローズドなコミュニティが作れるプラットフォームとして機能している。

今後どうなっていくか。新しいプラットフォームが出てくるのか・・・と考えても
人間、現状維持バイアスがつよいので違った切り口で考えてみた。

それはプレイヤー文化はどこから生まれるのかどうかだ。
というのも、もしみんなDiscordのクローズドなコミュニティだけで交流するようになったら、そこでプレイヤー文化なるものは生まれるかな・・・と考えたからだ。

ここまでは完全に自分の感覚なのでもう少し掘り下げてみてみよう。

まず「プレイヤー文化とは何か」について、FF14のようなMMORPGの文脈では以下のような要素の総体だと思う。
  • 共有される価値観や規範:「初見にやさしく」「他のプレイヤーに迷惑をかけない」といったみんなが尊重している暗黙のルール
  • クリエイティブな表現:SS、ミラプリ、RP、ハウス装飾などプレイヤーがゲーム内で行う自己表現
  • コミュニティの歴史やミーム:「動き理解した?」「ローポリブドウ」など古参から新参に伝わる内輪ネタやジョーク
  • プレイスタイルの多様性:カジュアル勢、レイド勢、ギャザクラ勢、SS勢など異なる楽しみ方が共存する文化
つまり、ゲーム内外でプレイヤーが自発的に作り上げて共有するものだ。
Discordのようなクローズドなコミュニティでは、この手のネタが通じるところではあるが、広がっていかないので新しい文化を生み出す場としては弱いかな、と。

情報の発信と拡散という点においてはXは最強ツールで、いろいろなネタが生まれやすい。
一方で、こうしたミームみたいなのは8割方悪意で出来ているようなのもで誰かの不興を買ったらすぐ糾弾されやすい昨今では委縮してしまうかもしれない。

となると最強なのは匿名掲示板などの匿名コミュニティで、奇人を奇人として面白がったり、過激なネタも発信されやすい。面白ければコピペで使われるし、つまらなければスルーされる。
ただ、過激なネタほどリアクションが良かったりするのでその攻撃性が暴走しやすい。

結論として、それぞれ異なるタイプのコミュニティが一定規模で混在しているのが「プレイヤー文化」を育む上ではいいのだろうな、と思った。
今後どうなっていくのかは分からないしなるようにしかならないが、こういう切り口で見ておけば極端に何かを嫌ったりしないで済むと思う。

・配信文化との向き合い方
動画配信なんて、それこそ旧FF14からやる人はやっていたので今更向き合い方もないだろう・・・とは思うが。
ただ昔と違うのは配信者という存在がオンラインゲームの運営に与える影響が無視できないほど大きくなったことだ。
影響力が大きいということは、視聴者から支持されているということ。その視聴者にはFF14プレイヤーでない人も含まれる。つまりFF14運営にしてみれば宣伝効果は大きいわけで排除したい存在ではない。しかしプレイヤーとのトラブルは起こして欲しくないという感じだろう。

「望ましい形」はプレイヤー、配信者、視聴者(リスナー)の三者がバランスよく楽しめる状態でそれをどう作っていけばいいかを考えたい。

「FF14は配信映えしない」とか「匂わせやクソアドバイスをする害悪リスナー問題」とかは、究極的には配信者側でどうにかするしかない問題だ。
FF14プレイヤーが配信者側に立って害悪リスナー叩きをしても、単に配信者のチャンネルが荒れるだけで迷惑でしかない。他のリスナーが楽しめる環境を作るために毅然とした態度で害悪リスナーを排除する配信者を支持する以外にやることはない。
独善的な正義感を振りかざして配信に過剰に介入しようとする視聴者は、どこでも厄介なものだ。

プレイヤーコミュニティ側で考えるべきはFF14プレイヤーと配信者間でトラブルを起こさないことだろう。
配信者はリスナーにどう楽しんでもらうかに向き合うのが基本。
ゲーム内で一緒にパーティを組むプレイヤーが身内やリスナーであれば配信者と一緒に「面白い配信を一緒につくる」という事に集中できるだろう。

ただ、一緒にいる人が配信と関係ないプレイヤーだった場合、その人にとっては「パーティプレイに向き合わず他の方を見ている人」となってしまう。
パーティメンバーとリスナーの両方に向き合うというのは構造上難しいだろう。

なのでFF14プレイヤー側は「配信者は基本的にリスナーのことで頭がいっぱいになっている人」
配信者側は「FF14プレイヤーは配信の都合に関係なく動く人」
くらいの認識を持って付き合うしかない。

配信プレイを一緒に楽しめない人を配信に巻き込むのはお互いに不幸だ。

プレイヤーのステータスに「配信中」や「配信NG」のステータスを追加する。
パーティ募集に「配信あり」を明示して募集をする。
そういったゲームのシステム的なサポートがあればよいと思う。

MMORPGのFF14はゲームという面と全体が一つのプレイヤーのコミュニティという面がある。
配信者はプライベートではプレイヤーとしてそのコミュニティの一員だったとしても、配信している間はFF14という村に来ている観光客みたいなもの。
適度な距離感で観光を楽しんでくれればありがたい存在だけど、撮れ高気にして迷惑観光客のような振舞いをすると、迷惑観光客のように嫌われちゃうのでご注意を。

その上でFF14が盛り上がって欲しいと思うなら、コミュニティの一員として観光振興には協力していきたい。

・AIの進化とどう付き合うか
昨今のAI技術の進化は素晴らしくもあり恐ろしくもある。
AI技術をゲームにどう活用するかは開発側が考えることなので、プレイヤー視点では「AIを使ってどうプレイ体験を豊かにするか」を考えたい。

未来についての話なので「今のAIじゃまだ足りないと思うけどこういうことができるようになったらいいな」というアプローチだ。なので結局は開発要望に近い話になってしまうが。

・AIでプレイ体験を豊かにするアイデア
(1) 高度な翻訳機能や音声認識を使った他言語間コミュニケーション
FF14はグローバルサーバーで世界の様々な地域の人がプレイしているが、言語の壁がパーティプレイの障壁になる。
ただ、障壁というのは解決できれば可能性とも言える。
文脈を読んだ高度なAI翻訳・音声認識ができれば可能性が広がるな、というのはシンプルな発想だ。

ただ、ゲーム内の翻訳機能に期待しても、開発リソースをそこに割くのは難しいだろう。
なので一緒のパーティを組んだ人がDiscordで音声やチャットのリアルタイム翻訳ができるようになれば、Discordが頑張れば出来そうな気がする。
今でもDiscordのチャットをオーバーレイ表示できるらしいが(やったことない)、FF14側がもう一歩よりそって機能化してくれればあやしげな方法に頼らなくて済むので期待したい。

(2)プレイ画面認識による実況やセリフ読み上げ、リアクション
アルカディアでのメテムの実況いいよね。
ストリートファイター6での実況機能もいいよね。
公式クリコン大会のso5uさんの実況もいいよね。

AIがゲームのプレイ内容を画像で認識してイイ感じに盛り上がる実況を付けてくれるようになったら楽しいな、と。
実況以外にも隣でいいリアクションしてくれる友人みたいな感じでもいい。自分のプレイにツッコミを入れてくれるのでもいい。
※ただし麻雀で口出ししてくるのはダメだ。

ますますソロ化が進みそうな機能だけど、パーティプレイの中にこういう盛り上げ役のAIがイイ感じに盛り上げてくれると楽しいと思うんだ。

・AI活用の課題と懸念
AIの可能性は魅力的だが、プレイヤーの「こういうことが出来るようになったら嬉しい!」が他者の権利や規約とぶつかることもある。欲望を素直に言葉にすれば大抵のアイデアはこちらになるだろう。

やったらダメなことを挙げたいわけではなく、やりたい事と課題は挙げておくので将来解決できるいいアイデアが生まれればな、ということで書いておく。

(1) 自キャラのイラストと著作権
単純に自キャラをイラスト化してくれると嬉しい。
ただ、FF14のキャラクターや世界観はスクエニの著作物なので難しい。
生成AIでの画像生成自体が叩かれ易い風潮もある。

(2)セリフ読み上げでフルボイス化
開発期間が事前に読めるオフラインゲームや開発コスト掛けられるソシャゲとかならフルボイスは珍しくないけど、FF14ではボイスが付くのは一部だけ。
単純に読ませるだけならできるかもしれないけど、これがオリジナルの声を真似してくるとド直球に声優の権利の侵害になるから難しいところ。

(3) 自キャラのフィギュア化
自キャラがイラストになるのが嬉しいなら立体化すればもっとうれしい。
モデルデータの抽出や有体物の作成は2重3重にアウトだけど。
AIで画像認識させてモデル作らせるのも今後品質が上がってくればいろいろ問題でてくるだろうな。


■6.おわりに

今日に合わせてちょっとづつ書いていたらすごく長くなってしまった。
旧Lodestone閉鎖から10年といいつつ、書いているのは旧Lodestoneが生まれてから15年分の出来事なのでまぁ、こうなるよね。